今月の法話

[0024] 改歳之令辰 (2009/01/01)


祈り(仏教の目指すところ)

諸悪莫作  諸々の悪を作すことなく
衆善奉行  衆(おおく)の善を奉行し
自浄其意  自ら其の意を浄うする
是諸仏教  是れ諸仏の教えなり


 今年は「己丑」「つちのと」とは己のことで、己というのは物事の中心を言うのです。陰陽五行思想と言って中国の自然観の基となっている考え方です。五行とは木火土金水を言います。木が火を起こし土と変じて、金を生み、水を呼ぶ・水は木を育み、火を起こし土地を作って金を生んで水を呼ぶという巡り合わせを言うのです。干支で申しますと「戊己」と言って五行の真ん中の「土」に当たるから、物事の中心と言うことになるわけです。

 この事を私に当てはめて考えますと七十二歳干支が六巡目の年となる私は、自分の中に、お前に授けられている命の限りを尽くして生きて来たかと問いつめる己がいます。
 生まれ落ちた日本という自然に恵まれ、何よりも、過酷であったであろう時代を耐えながら、己に命を伝承してくれた祖先、破産や時代変革の中で貧困を経験した祖先が残した生き様までが今の私を育んでいることを思います。
 先生や学友に恵まれ・仏道修行にあっては多くの導師や道友に恵まれたこと。
 何よりも今禅昌寺の護持に携わっている、寺の役員さん始め、檀信徒皆様、我がこととして黙々と境内・伽藍の掃除・管理に携わっている職員の皆さん・私の出会った人々・事事・物物に活かされていることを思うと、己は如何かと問われるのであります。

 順風満帆の人生そんなにあるわけではありません。今思いますと障害となった出来事も、行き違った人間関係も、これも又己が活かされる知恵と力となったことを思います。
 土地は清も濁も合わせ呑み込み有機物に依って肥やされて「金」を呼ぶ肥沃な土壌は水を含んで作物や自然界を潤し、豊穣を生みます。
 しかしその土地も過剰に腐葉土が堆積しますと自然破壊に繋がると言われます。

 私にとって六巡目の干支が「己丑」と言うことは、今後の生き方に過去の数え切れない出会いに感謝報恩を実践することが促されている思いでおります。

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