今月の法話

[0014] 続・ガンと同居となった この五体をどうしょう! (2006/07/20)


貴重な体験をして、
ただ私の葛藤・私の喜び・私の病として
終わらせたくない……
明日は貴方かもしれないから……
参考になればという思いで綴ります。


四月十二日 水曜日
広島日赤病院内分泌内科にて甲状腺超音波検査を受けた結果、五ミリ程の腫瘍が鮮明に映し出されたものを自らも確認する。これを発見した名医を友人に持った事を感謝するのみである。

四月十八日 火曜日
広島日赤病院にて採尿採血の後、先週内分泌内科担当医師が超音波の映像を視ながら、直接甲状腺の細胞を採取した検査の結果「甲状腺腫瘍(乳頭癌)と判明した。
 私のごく身近な家系には未だガンにかかり、それによって死亡したという者はいないし、私自身健康チェックに気をつけ、妻は日常の食生活には格別バランスを重視し、健康食に配慮してくれているということもあってか、一年に一度の血液検査では毎回中性脂肪が理想的数値を二十三〜四高い位でその他は全て理想的数値圏内であることを自負していたのである。
 昨年風邪を引いて体調を崩し、掛かり付けのホームドクター(西区草津)までは気も重く、町内の女医さんに診ていただいた時のことであるが、私の年齢と体型からは想像もつかなかったのでありましょう、中性脂肪以外の数値は全て理想的数値内にあることに「こんな健康的な血液、滅多にありません」と驚いていた程、血液検査が健康数値・快食・快便であればガンなど掛かりはしないと思っていた。

 私は「ガンの宣告をうけた」というような悲観的な受け止め方はしておりません。疑いがもたれたときから、仏様よりガンを患う人の苦しみを体験し自らに生き方を尋ねるよう授かったものと受け止めている。
 「道心二十一号」の此の項の記事を読まれた檀家の方で、広島大学医学部教授K先生からご懇切なメールを戴いた。その内容は「甲状腺ガンは転移しにくいとはいうけれども、難しい手術ではないから早いうちに処置をした方がいい、専門医の紹介もする」という趣旨であった。 
 主治医に「自然治癒」に挑戦したい旨を話すと「此の箇所の此のガンは」九十九パーセント不可能でしょうといわれた。前立腺の末期ガンで手術もできない状態で、全てをなげうって田舎の山寺にこもり、自然治癒に専念した友人に電話をして相談をしてみたが、君にはできないだろうと言われた。日常生活の全てをストレスの溜まらないように自然に任せる生活ができて実現可能であるが君のおかれている環境では無理と言うことであった。
最初に腫瘍を発見してくれたホームドクターは小・中学校の同級生で何でも忌憚なく話せる間である。
 「甲状腺のガンは転移しにくいガンで、命も十年位は脅かされないだろうが、見つけた以上は、早いうちに取っておく方が賢明である」と言ってくれた。

 ここで「十年は命に問題はないであろう」といわれたとき、私は「一体幾つまで生かされればいいのか」と自らに尋ねてみた。もちろん授かった命をいくら詮索してみてもどうしようもないことである、健康で長生きできることは理想ではあるが……。
 最近では「親より先に逝く親不孝」という現象にしばしば出会うことを思うと、必ずしも長寿が幸せとはいえない現実がある。
 戦後の貧しい時代を体験したことも、農地解放になって一夜にして貧しくなった父のお陰でお金では買えない苦学を体験し、多くの出会いに恵まれたこと、全てが今の自分を生かしてくれたことを思うと、今更なにを望むのかと尋ねる自分があって、せめて孫の成長を見届けたいという願望に気づく……
 それは尽き果てぬ欲望であることは申すまでもない、迎えが来ればそろそろ諦めろと言う自分もいることに気づかせてもらった。

 皆さんのアドバイスを素直に受け入れて五月七日日曜日夕刻入院、五月八日月曜日手術することとした。

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