競争社会が悪影響
 昭和40年代からの著しい経済発展に伴い、私達は大量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造の中で生活してきました。市場原理に基づいた徹底した「競争社会」は、経済だけでなく人間活動のあらゆる分野に影響を及ぼしています。経済における弱肉強食の社会では、精神的にも荒廃が進み、ひいては暴力が暴力を生む状況も生まれてきています。
 教育界も例外ではなく、子どもたちまでも競争社会に巻き込まれ、有名大学を出て大企業に就職するための受験競争という構図は、社会問題としての一面もみせています。
 そうした中、2002年4月から公立小中学校では完全週5日制が実施されました。これは、子どもたちに「ゆとり」を確保し、家庭や地域社会において豊富な生活体験や社会体験、自然体験の機会を与えることにより、一人一人の心を成長させ、「生きる力」を身に付けさせることを目的として導入されたものです。
 しかし、今の子どもたちは親子や子ども同士、隣近所といった人とのかかわりも不足しており、無気力・無関心・無感動になっている面も多々あります。
 元来人間は、自然と共存し自然にはたらきかけることで物質的にも精神的にも潤いを得て進化してきました。頭を使って学ぶ知識と身体を使って学ぶ体験とが融合してはじめて人間は成長します。学校の勉強による知識習得だけでなく、日常生活とは異なった環境での児童期にしかできないナマの体験は、人間が本来持っている豊かな感性や思いやりの心を取り戻すことにつながります。
 家庭での親子関係のひずみ、子ども同士のかかわり不足、自然体験や外遊びの貧しさなどが支障となり、文部科学省の提唱する「生きる力」を学校だけで身に付けさせることは大変難しい状況もうまれています。

自然体験と心のふれ合いを
 青少年の育成にとってこれから求められるのは「自立能力」や「自己決定能力」です。人生の価値や生きがいを自分自身で見出さなければならなくなりました。子どもの才能は非常に多様です。そしてさまざまな可能性を秘めています。学校の成績という価値観だけでは、子どもたちは自分が大切な存在であるということを実感できません。自然を通した豊かな体験は、人間本来の豊かでやさしい心を育み、その中で生まれる対話や連携は、人間同士の心と心をしっかりと結び付けてくれます。頭を使った学習も大切ですが、身体を使った体験がプラスされてこそ「生きる力」の原動力となります。
 そのためには心のふれ合いと豊かな体験活動ができる環境が必要です。ボーイスカウト活動には、それを体験できる環境が整っています。いわばスカウト式課外授業です。

スカウト活動に参加してみませんか?

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